2019年入社の新卒初任給は25%の企業が「アップした」と回答、今後も上昇傾向は続く見込み

マス採用から個へフォーカスした個別採用へとトレンドが移行していくなか、新入社員の給与や勤務地などの諸条件に差をつける処遇の多様化が各企業で進んでいます。ソニーがAI人材に高額給与を支払うというニュースが話題となりましたが、ファーストリテイリングやソフトバンクが初任給の引き上げを実施しています。初任給を引き上げることで人材確保に動いている企業がどのくらいあるのか、初任給引き上げの実態とあわせて回答を募りました。


初任給を「引き上げた」企業が25%、「変わっていない」と回答した企業が56%で、結果は現状維持を通した企業が全体の半数以上でした。業種別に見ると、メーカーは「引き上げた」企業が38%で、「変わっていない」企業が45%、「新卒を採用していない」企業が17%でした。一方の非メーカーは、「引き上げた」が16%、「変わっていない」が63%、「新卒を採用していない」が21%で、「引き上げた」企業の割合は、メーカーの半分という回答結果でした。

20年卒以降は「全体的に引き上げられる」が4割超え

初任給の引き上げを実施していない企業のほうが多かったものの、人事担当者は今後はどのような傾向になると予想しているのでしょうか? 『今後、2020年卒以降の新卒初任給はどうなると思いますか?』と聞いてみました。



最も多かったのが「変わらないと思う」の39%。「全体的に引き上げられると思う」が33%、「職種や学歴単位での引き上げが見られると思う」が22%で、何らかの形で「引き上げられる」という回答は55%と半数を超えました。
また、「全体的に引き下げられると思う」「職種や学歴単位で一部引き下げが見られると思う」と回答者はいませんでした。

業種別に見てみると、メーカーは「全体的に引き上げられると思う」が41%で最多。
「職種や学歴単位での引き上げが見られると思う」が24%、「変わらないと思う」は31%でした。「引き上げられる」という2つの回答を合わせると65%で、今後は初任給が上がっていくだろうと答えた人の割合が多くなりました。
非メーカーでは「全体的に引き上げられると思う」が28%、「職種や学歴単位での引き上げが見られると思う」が21%で、「引き上げられる」という回答が49%と僅かながら半数を下回りました。「変わらないと思う」という回答も44%と多く、非メーカーの方が初任給の引き上げ予測に消極的な姿勢を示していました。

一番の課題は在籍者のベースアップ、業種によって課題も異なる

初任給の引き上げに企業として課題はあるのでしょうか。『新卒初任給の引き上げはどのような影響や課題があると感じていますか? 当てはまるものをすべてお選びください。』と質問し、当てはまるものすべて選んでいただきました。



1位は「在籍者のベースアップ問題を考える必要あり」で56%に上り、全体の給与水準とのバランスを考慮しなければならないという回答が多く寄せられました。2位以降は「業界によって人材確保が難しくなる(36%)」、「大幅なアップは賃金体系カーブの見直しが必要(33%)」、「職種給・職能給など賃金体系の改定が必要(28%)」「働き方改革による残業減もあり労働力の確保が難しくなる(25%)」と続きました。

人事担当者が感じている課題(フリーコメント)

最後に新卒初任給の引き上げについて、フリーコメントを紹介します。

    【引き上げ方法に一考の余地あり】
  • できれば高齢層分の給料を新卒などに回したい。(従業員数:1000名以上、サービス)

  • 【引き上げはやむなし】
  • 少子高齢化などの社会的情勢の変化を考えるとやむをえない(従業員数:1000名以上、メーカー)
  • 引き上げやむなしとは思うが、一律引き上げは実施すべきではないと考えている。自社では一律で引き上げは行わない。(従業員数:1000名以上、サービス)
  • 市場の流れとしては自然なことだと思う。そもそも、新卒の時点で能力差があってもみんな同列、というのは市場原理としておかしい。中途採用と同様、市場価値の高い人は高くあるべき。(従業員数:300名未満、マスコミ・コンサル)

  • 【入社後の方が大切】
  • 同業他社並みで十分。入社後に本当の待遇を考えるから。(従業員数:300名未満、サービス)
  • 新卒よりは入ってからの昇給が大切。(従業員数:300名~1000名未満、サービス)

  • 【必要なのは安心して働く仕組み】
  • 初任給の額だけで比較してはいけないと思う。翌年以降の退職までにどのような賃金体系となっているかもライフプランを考える上では重要。さらにいえば公的保障を含めた「安心して働く」ための仕組み、制度がしっかりしていることが望ましい。(従業員数:1000名以上、メーカー)
  • 初任給はリーマンショック等の不景気だった過去を反映し低めに抑えられており、全般的に給与(額)が抑えられてきたと思う。社会保険料の上昇等を考えると可処分所得は下がっている。一方業務での生産性は給与水準と正比例せずまだまだ年功的な要素(昇給概念)が企業文化に残っている伝統的企業もある。今後はより本格的に職務給的な報酬体系が進んでいくと思う。(従業員数:300名未満、メーカー)


【調査概要】 アンケート名称:「新卒初任給」に関するアンケート
調査主体:PRO-Q編集部(ProFuture株式会社)
調査期間:2019年5月27日~6月17日
調査媒体:アンケートメディア 人事・総務PRO-Q
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