新型コロナウイルスによる中小企業への影響は。東京都が緊急調査

東京都新型コロナウイルス感染症対策本部は2020年3月3日、東京都産業労働局が実施した「新型コロナウイルス感染症による企業への影響度・実態等に関する調査」の結果を発表した。調査対象は都内の中小企業182社で、2020年2月19日~21日の3日間、電話による緊急アンケートを実施。今回の感染症流行による影響や中国との関連、必要な支援策が明らかになった。

3割以上が影響は「当面はない」とするも、サービス業には影響あり

新型コロナウイルス感染症の流行は、企業活動にどの程度影響を与えているのだろうか。「感染症の流行による企業活動への影響」について質問したところ「当面影響は出ないと思う」が33.5%で最も高い割合を占めた。次いで「現在影響が出ている」が29.7%、「1ヵ月から半年以内に影響が出ると思う」が22.5%だった(1ヵ月以内:7.7%/3ヵ月以内:9.9%/半年以内:4.9%)。


事業への影響が既に出ている企業は3割弱にとどまっているものの、業種別で見ていくと、「宿泊業・飲食サービス」と「生活関連サービス・娯楽」で「影響が出ている」という回答が多く、サービス業への影響が大きいことがうかがえる。



「経営状況が1~3割ほど悪くなっている」と感じている企業は約4割

次に「影響がある」と答えた企業に対し、平常時の経営状況を「100」として、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた後の経営状況を数値で表してもらった。「89~70」と回答した企業が24.8%と最多で、「99~90」の17.1%と合わせると41.9%になることから、経営状況が1~3割ほど悪くなったと感じている企業が多いことが分かる。


一方、「状況が良くなっている(100を超えている)」と回答した企業は4.8%と、経営状況が改善している企業もわずかながらあるようだ。



仕入れや顧客などの面で中国と関わっている企業も

続いて、事業における中国との関連について聞いたところ、62.8%の企業が「関連がない」と回答。「関連がある」と答えた企業のうち約2割の17.2%は「輸入や仕入れについて関連がある」としている。


業種別に見ると、「宿泊業・飲食サービス」と「生活関連サービス・娯楽」で、「顧客の一定数が中国からの観光客、来訪者」の割合が高いことが分かった。



必要な支援策は「資金の確保」。マスクや消毒薬などの供給を求める声も

最後に「必要な支援策は何か」と聞いたところ、約3社に1社の割合になる32.6%が「資金の確保」と回答した。業種別では、製造業や運輸業、郵便業の割合が高くなっている。


なお、最も多かった回答は「その他」で、その多くは「マスクや消毒薬など衛生資材の供給」を求める声だった。また、自由意見では「正確で迅速な情報提供」を求める企業が多数あった。



すでに国や東京都からは、支援策が複数発表されている。新型コロナウイルス感染症の流行が終わるまでの期間、企業は提供される情報や支援策について耳を傾け、自社への悪影響を最小限にとどめていく必要があるだろう。

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