~メリットと課題を分析~ 360度評価って実際どうなの?

上司だけでなく、同僚や部下など多面的に従業員を評価する「360度評価」。近年、従業員の評価への納得感向上や人材育成等を目的に導入する企業が増えている。今回の調査では実際に360度評価を導入している企業がどのような効果を実感し、どのような運用上の課題を感じているのかという点を中心に、フリーコメントも含めて紹介する。

<概要>
●360度評価を導入している企業は約2割、導入予定が1割
●導入目的としては評価の適正化が多いが、導入後に実感するメリットは主に育成面
●運用上の最大の課題は評価の目線の統一
●360度評価の評価者は部署内、評価対象者の範囲は管理職などに限定する企業が多い
●人事評価に直結させる企業は比較的少数、育成に活用する企業が多い
●360度評価導入企業は、7割以上が多少なりともポジティブに機能しているとの評価


360度評価を導入している企業は約2割、導入予定が1割

 まず、360度評価を導入している企業はどの程度あるのだろうか。導入状況についての質問に対し、「導入している」と答えた企業は22%と2割程度にとどまり、「導入する予定はない」が56%と半数以上を占める結果となった(図表1)。 まだまだ広く普及しているとは言えないが、今後導入予定の企業も10%あることから、現在は普及の途上であるといえるだろう。


【図表1 360度評価の導入状況】



導入目的としては評価の適正化が多いが、導入後に実感するメリットは主に育成面

 企業はどのような目的で360度評価を導入するのだろうか。導入目的として最も多かった回答は「多面的評価による客観性の確保」(70%)、次いで「フィードバックによる従業員の自己理解促進」(61%)、「従業員の評価への納得感向上」(43%)となっている(図表2-1)。上からの視点だけではとらえきれない各人の姿を360度評価であぶり出し、より納得感のある評価や配置、育成につなげたいという企業が多いようだ。一方で、「オープン・フラットな文化の醸成」(13%)や「従業員の相互理解の促進」(9%)といった項目を目的として挙げる回答は少なかった。

 では、実際に導入している企業はどのようなメリットを実感しているのだろうか。最も多かった回答は「フィードバックによる自己理解の促進」(56%)、次いで「規範意識の向上」(31%)、「マネジメント層の育成」(31%)となっている(図表2-2)。一方で、導入目的で最上位となっていた「多面的評価による客観性の確保」を効果として実感している企業は25%にとどまり、目的として3番目に多かった「従業員の評価への納得感向上」も19%となっているなど、期待した効果と実際に実感している効果との間には乖離があるようだ。評価の公平感・客観性の向上を目的として導入する企業が多いものの、効果として実感しているのは主に育成面と言えそうだ。


【図表2-1 360度評価の導入目的】



【図表2-2 360度評価導入により実感しているメリット】



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