「人事評価制度」×「目標管理制度」で人材育成を強化する
なぜ人事評価制度が必要なのか?
人事評価制度には、主に2つの効果が期待できます。1つは、評価の結果によって給与やボーナスの査定、昇格や降格など、最適な処遇を決定できるという点です。さらにそれによって従業員のモチベーションを上げることができるという側面もあります。そして2つ目は、人材育成を強化できるという点。これは目標管理とセットで行うとより効果的です。従業員の目標を管理することによって、どこに課題があるのか、どこをどう改善する必要があるのかなど評価結果を可視化。それをもとに上司から部下にしっかりフィードバックするという流れを構築できれば、人材育成の強化が図れるでしょう。
では人事評価制度は、企業のどのようなフェーズで必要とされるのでしょうか。例えば、創業間もない企業で、従業員数もまだまだ少なく、トップの目がきちんと行き届くうちは、評価制度は必要性は低いです。しかし従業員の数が20名、30名と増えれば増えるほど、社長がすべての従業員に対して直接マネジメントを行うことや、コミュニケーションを取ることが難しくなってきます。そして従業員数が50名くらいを超えてくると、評価制度がないとコントロールが効かなくなってくるでしょう。実際弊社のお客様もトップのマネジメント領域の限界がきた際に導入されるケースが多いです。
業績評価に効果的な目標管理制度
人事評価制度の評価対象は大きく4つに分けられます。1つ目は、「結果」。例えば売上・利益や予算達成度など最終結果として評価するもので、これは目標管理ともリンクします。そして2つ目は、「KPI」。目標である売上や予算を達成するためには、一体何が必要なのか、きちんと指標を決めて評価することも重要です。続いて3つ目は、「能力」。最終結果やKPIだけでは評価できない部分――つまり知識やノウハウ、技術など数値化できないものについては、弊社では専門評価、またはスキル評価と呼んでいます。そして4つ目は、「マインド」です。これは会社や組織にいる以上、大切にしたい価値観・考え方の部分で、例えば企業理念がどれだけ浸透していて、いかに行動として実践しているか、などを評価します。評価制度を構築する際は、これら4つの対象を最適なバランスで配分する必要があるでしょう。
具体的な評価手法として、第一に挙げたいのが「目標管理制度」です。この制度はMBO(個人やチームで目標を設定して、その達成度をもって評価を決める)と、OKR(組織が掲げる達成目標と主要な成果をリンクさせて、組織と個人の方向性とタスクを明確にする)に分けられ、いずれも「結果」を評価する際に有用とされています。またその他の手法としては、上司をはじめ、本人、同僚、部下の複数名によって、日常の職務行動を評価する「360度評価(多面評価)」や、年度単位での評価やランク付けをせず、上司が今まで以上に部下に対してフィードバックをし、対話を重ね、その都度、現実に沿った目標を与える「ノーレイティング」などが挙げられます。
人や組織が大きく生まれ変わった成功事例
ではここで、私たちが人事評価制度の導入を支援し、大きな成果を上げられた企業様の事例をご紹介します。不動産の賃貸・売買仲介などを手掛けるA社様では、社員の採用、育成、定着を一貫して行うために、会社の仕組みを一から作り直すことに着手。賃貸営業・売買営業・営業以外の職種で評価のバラつきが出ないように、すべての社員が同じ方法で評価される制度を構築しました。経営計画から全社員が成果を上げて目標を達成するために、①売上や契約数による成績の評価、②成績を上げるための重点施策、③会社が職種に期待するスキル評価、④全社員共通項目として理念浸透…の4つを評価内容として設定。社員一人ひとりがこれらを意識し、行動することで、スタッフそれぞれに責任感が生まれ、目標達成に前向きな姿勢になり、新人スタッフへの心遣いもするようになり、さらに利益意識が大幅に向上したそうです。同社は、企業の成長は「人財こそ要」との考えのもと、その後も人が育つ会社としての取り組みを進めています。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が採用人数を縮小させることが予想されますが、一方で今いる人材をしっかり育てたいというニーズはより一層高まっていくでしょう。そうした中、人材育成を加速させるためには、目標管理と合わせて行う人事評価制度が何よりも強力な武器になるはずです。組織や個人の目標をいかにして評価制度に落とし込み、社員のモチベーションや業績向上に繋げていけるか。まだ人事評価制度を導入していない企業様や、現在導入している制度を見直したい企業様は、ぜひ参考にしていただければと思います。
・船井総合研究所
https://hrd.funaisoken.co.jp/
・人財ファースト経営フォーラム
https://www.funaisoken.co.jp/study/036442
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