長引くコロナ禍で働く人々の変化は。「テレワークの実施有無」と「行動変容」の関連性を探る
時間の経過とともに、感染リスクへの不安も緩和傾向か
新型コロナウイルス感染症拡大は第4波を迎え、依然として動向から目が離せない状況だ。長期化する中、個々人の意識はどのように変化しているのだろうか。
はじめに、「自身が新型コロナに感染する不安」について尋ねると、「かなり不安を感じている」は25.5%と、1月時点の35.2%から9.7ポイント減少した。一方、「やや不安を感じている」は52.7%と、1月時点の48.2%から4.5ポイント増加した。また、「あまり不安を感じていない」が13%から17.4%へ4.4ポイント増加していることも加味すると、全体的に「感染への不安」の程度はやや薄らいでいることがうかがえる。
また、「不要・不急の外出」について聞くと、「できるだけ避けるようにしている」は43.5%と、1月時点の49.8%から6.3ポイント減少した。一方で「多少は避けるようにしている」は44.2%と、1月時点の39.5%から4.7ポイント増加した。上記の設問である「自身の感染不安」と同様の傾向が見て取れ、感染への不安感が薄らぐとともに、外出を自粛する意識も徐々に薄れてきているようだ。
業績に対する不安感は、業種によってさまざま
続いて「業種別・勤め先の業績に対する不安」について尋ね、「『全く不安は感じない』と『どちらかと言えば不安は感じない』の合計から、『かなり不安を感じる』と『どちらかと言えば不安を感じる』の合計を引いた割合(D.I.:Diffusion Index)」を算出した。その結果、「教育、学習支援業」や「公務」ではプラス(不安がない)で、「情報通信業」ではマイナス(不安がある)に僅かに振れていた。また、「卸売業」や「運輸業、郵便業」では40ポイント以上のマイナスを示している。業種によって、不安感は大きく異なるようだ。
テレワーク実施状況は約2割で、2020年7月以降同様の水準に
また、「テレワークの実施状況」を尋ねると、2021年4月に「テレワークを行っている」のは19.2%だった。雇用者に占めるテレワーカーの割合は、初めての緊急事態宣言下だった2020年5月に31.5%を記録したのを最後に、2020年7月以降は継続して約2割程度で推移していることがわかった。
テレワークの有無が、働き方を変容させる意識に繋がるか
さらに、「新型コロナ収束後の働き方や生活様式に関する変化の可能性」についての回答結果を、テレワークの実施別(有り/無し)にまとめると、非テレワーカーよりテレワーカーの方が、全項目(時間管理の柔軟化/対面営業の縮小/地方への移住)で変化の可能性を肯定する傾向が強いことがわかった。また、ほぼ全ての項目でテレワーカーに統計的有意差が見られたことからも、テレワークの経験は「ニューノーマルな働き方」の原動力になり得ると推察される。
長期に及ぶコロナ禍で、感染症への「慣れ」が進み、行動変容を個々人の意識に任せることは限界を迎えている。テレワーク経験の有無が、その後の意識変革にも影響を与えるという結果から、従業員の働き方の見直しを行うことは、企業にとっても多くのメリットがありそうだ。
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