人材獲得競争が再燃か。採用活動を実施する中小企業の3割以上が、緊急事態宣言解除後に「賃金」を引き上げ。
9割近くの中小企業が採用活動を実施中
新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え、採用活動を活発化させる動きがあるなか、中小企業においてはどのような状況なのだろうか。
はじめにネットオンが、「現在採用活動を行っているか」を尋ねると、「はい」が87.8%となった。中小企業の9割近くが、人材確保に向け採用活動を行っていることがわかった。
採用活動を実施する中小企業の3割以上が、緊急事態宣言解除後に賃金を引き上げ
続いて同社は、「現在採用活動をしている」とした回答者に対し、「緊急事態宣言が解除された2021年10月以降で、賃金の引き上げを行ったか」を質問している。その結果、「はい」が35.1%、「いいえ」が64.9%となった。採用活動を行う中小企業の3割以上が、緊急事態宣言解除後に賃金の引き上げを実施したことが明らかとなった。
賃金引き上げの主な理由は、「最低賃金の改定」と「人材確保」
次に、「賃金の引き上げを行った」とした回答者に「その理由」を尋ねると、「最低賃金が改定されたため」が61.9%で1位となった。2位が「人材確保のため」(50.8%)、3位が「従業員の定着率向上(引き留め)のため」(25.4%)であり、これらの「人材に関する回答」が合計76.2%に上ったことから、賃金引き上げによる人材確保および定着に期待する企業が多いことがうかがえる。
今後、賃金の引き上げを予定している企業は4割弱
さらに、現在採用活動を実施中の企業のうち「緊急事態宣言解除後に賃金の引き上げをしなかった」とした回答者に、「今後賃金を上げる予定はあるか」を聞いている。その結果、「今のところ予定はない」が62.2%になった。その一方で、「1年以内に上げる予定」が15.5%、「半年以内に上げる予定」が13.3%、「3ヵ月以内に上げる予定」が9%となり、「賃金引き上げの予定がある」とした企業は合計37.8%と、4割に迫った。
これらの結果から、すでに採用活動を行なっている企業では、賃金の引き上げを「実施済み」または「今後行う予定」の合計が59.6%に上ったことがわかる。一定数の中小企業が、人材確保において賃金設定を重要視し、採用に取り組んでいることがうかがえる。
賃金の引き上げを検討する理由は、「人材確保」と「従業員の定着」が多数
続いて同社は、「今後賃上げを予定している」とした回答者に、「その理由」を質問している。すると、1位が「人材確保のため」で61%、2位が「従業員の定着(引き留め)のため」で58%となった。続く3位の「業績の向上(回復)が見込めるため」(27%)という結果について、同社は「緊急事態宣言解除後に賃金を引き上げなかった背景には、新型コロナの影響があったと予測でき、賃金の引き上げに対する企業の葛藤があったことがうかがえる」との見解を示している。
賃金を上げない理由のトップは、「業績の向上(回復)が見込めていないため」
一方で、「賃金を上げる予定はない」とした回答者に対しても、「その理由」を尋ねたところ、「業績の向上(回復)が見込めていないため」が1位で39.8%となった。続く2位は「賃金を上げなくても人材確保ができているため」(26.3%)、3位は「他社や他店が上げていないため」(17.5%)となった。1位の理由からは、「業績の見通しが不透明なことから賃金の引き上げができない」ことがうかがえるが、2位と3位からは、「人材獲得の手段として賃金引き上げの必要性を感じていない」という企業も一定数あることが予測される。
本調査の結果から、中小企業では採用競争や人材の定着において賃金を重要視している傾向が見られた一方、「業績の向上が見込めないために賃金を引き上げられない」という葛藤も見て取れた。新型コロナの影響で先の読めない状況が続く中、中小企業の人材獲得競争においては、賃金の引き上げ以外にも「労働環境の向上」や「福利厚生の充実」など、総合的な対策を考えておくといいかもしれない。
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