長引く深刻な人手不足を背景に、空前の売り手市場が続く新卒採用ですが、より優秀な人材を確実に採用したい企業にとっては、様々な手法を用いての採用活動の多様化が進んでいます。こうして高まる採用活動の負荷を低減しつつ、AIによるマッチングによる質の向上などを期待して、「HRテクノロジー」を採用する企業も増えてきたと言われています。では、PRO-Q会員の皆様の企業では、HRテクノロジーの導入をしているのでしょうか？活用場面や課題についてもアンケート調査しました。（調査期間は2019年1月22日～2月19日まで）

既にHRテクノロジーを採用している企業は約1割、メーカーでは後ろ向き

まず、HRテクノロジーの採用状況について見てみましょう。『HRテクノロジーを活用した新卒採用を行っていますか』という質問に対して、「既に行っている」は9%、「行っていないが検討中」は37％という結果でした。「行う予定はない」は54％となっており、現状ではHRテクノロジーの採用について前向きな企業の方が少なめとなります。また、メーカーと非メーカー別で見ると、メーカーでは7割近い67％が「行う予定はない」という結果になっています。

HRテクノロジーの導入期待値はAIによる「質」の向上

続いて、HRテクノロジーの活用場面について見ていきましょう。『採用のどのフェーズで最もHRテクノロジーが活用できるとお考えですか？』という質問に対しては、「最適人材の抽出」が26％、「母集団形成」が19％、「選考期間の短縮」が11％と続きます。ソフトバンクではAIによるエントリーシート選考を行って話題になりましたが、HRテクノロジーには選考プロセス工数の削減の他に、AIによる「採用する質の向上」も期待されていることがわかります。

HRテクノロジーの採用には、コストとIT知識が懸念点か？

HRテクノロジーに対する期待値はわかりましたが、採用にあたっては何がハードルとなっているのでしょうか。『HRテクノロジーの利用に関する懸念や課題で、当てはまるものをすべて選んでください』という質問に対しては、「導入コスト」が42％、「人事のマンパワー不足」が40％、「適切なソリューションがわからない」と「運用コスト」が同率の33％という結果になりました。コスト以外の懸念としては、ソリューション選定や運用を考えたときに、現状の人事の工数とIT知識で対応できるのかどうかに対する不安があるようです。

最後に、HRテクノロジーを活用した新卒採用について、自由なご意見を記述してもらいました。以下にご紹介します。

【導入に対する懸念点】

• アルゴリズムが個社ごとに適切にカストマイズされているものは少ない。平均的に見て外れのない採用になるだけで特色のない採用になる可能性がある。（従業員数：1000名以上、サービス）
• 母集団の形成時に、特徴ある人財が漏れてしまう可能性があるのではないか、懸念している。（従業員数：300名未満、マスコミ・コンサル）

【導入しない理由】

• 外部機関による採用候補選出のため、導入は難しい。（従業員数：1000名以上、サービス）
• そもそも応募10名採用5名程度なので、受験業務自体に高負荷はない。（従業員数：300名未満、メーカー）

【導入することのメリットや活用法はどう考える？】

• 先に始めた企業がどんどんノウハウを積み重ねる仕組みになると思います。まずは取り組むことが大切かと。（従業員数：1000名以上、マスコミ・コンサル）
• 新卒採用だけでなく、現在の経営陣と従業員向けにHRテクノロジーを導入して効率・生産性を向上すべきだ。（従業員数：300名未満、メーカー）

【調査概要】 アンケート名称：「HRテクノロジーを使った新卒採用」に関するアンケート
調査主体：PRO-Q編集部（ProFuture株式会社）
調査期間：2019年1月22日～2月19日
調査媒体：アンケートメディア 人事・総務PRO-Q

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