企業の収益成長はテクノロジー活用がカギ? アクセンチュアによる最新調査結果

世界最大級の総合コンサルティング企業であるアクセンチュアは、テクノロジーの活用に関する最新の調査結果を公表した。この調査は、日本を含む20カ国および20の業界、8,356社を対象に行われ、特定のデータセットから8年間の主な成長指標と業績評価指標を導き出すもの。この結果から、テクノロジーの活用と企業業績の相関性が明らかとなった。

テクノロジー活用が企業の業績に影響か

アクセンチュアが実施した最新調査「Full Value. Full Stop. How to scale innovation and achieve full value with Future Systems」は、これまで同社が実施したIT活用状況調査の中で最大規模だ。調査対象には、クラウドやアナリティクスなどのほか、人工知能(AI)やブロックチェーン、拡張現実などの新興テクノロジーも含まれている。


本調査でもとにしたデータは、「テクノロジーの導入状況」「テクノロジーの活用度」「組織文化への浸透度」の3項目における企業スコア。上位10%を「先行企業」、下位25%を「出遅れ企業」と定義して分析している。2015年から2023年(予測値)の業績評価指標に基づきテクノロジー活用と業績との関係を調べたところ、先行企業は出遅れ企業と比べて業績成長率が2倍以上であることが判明。2018年に限っては、出遅れ企業は年間で15%の増収チャンスを逃していることが分かった。さらに、このままテクノロジー活用における改善がなければ、2023年には失われる増収チャンスが46%にまで上昇する恐れがある、とも指摘しているのである。




イノベーションを生み出すための次世代システムの定義とは

今回の調査において「先行企業」と定義されている企業では、エコシステムを通じてパートナー企業と相互連携を図り、人間とマシンとの協働による新たな価値の創出を目指した次世代システムの構築などに取り組んでいることも明らかになった。それらのシステムの特徴を3つに分類し定義している。


まず、「境界線がないシステム」として、先行企業ではITシステム間や企業間、人間とマシンの間の境界線をなくすことに努め、アイデアやパートナーシップの活性化を図っているとしている。


次に、「適応力に長けたシステム」では、自律的な学習および改善や環境の変化に順応できるシステムを構築することで、ビジネス成長を妨げる摩擦を取り除いている。従業員の迅速かつ的確な意思決定に寄与しているようだ。


さらに、「人間と調和するシステム」として、人間との対話や見聞きした内容の理解が可能なシステムの構築により、人間とマシン間のやり取りが違和感なく行えることを実現。企業の優位性が高まる結果となっている。


「先行企業」と「出遅れ企業」では、テクノロジー導入と組織変革に関する考え方に大きな違い

また、全社規模でのテクノロジー導入と組織変革に関する考え方が、先行企業と出遅れ企業では対照的であることも判明した。


まず、「俊敏性と柔軟性をもたらすテクノロジーの導入」では、先行企業の98%でAIを導入しているのに対し、出遅れ企業での導入率は42%に留まっていることが分かった。


また、AIやアナリティクスなど効果的にテクノロジーを利用するために、先行企業では非常に積極的にクラウドを活用していることも明らかになった。「イノベーションの源泉としてクラウドを捉えている」と考える先行企業が95%であるのに対し、出遅れ企業で同じ回答をしたのは30%に留まっている。


「資産としてのデータ管理」については、90%の先行企業がデータ品質を確保するための対策を行っていることが分かった。「自社データは十分な信頼性を担保している」と考える先行企業は94%と、出遅れ企業の64%よりも30%も上回る結果だ。


従業員に対して体験型学習プログラムを提供するなど「人材スキルの向上」を重視する先行企業は73%と、出遅れ企業の24%の約3倍となった。この分野でAIや高度なアナリティクスを利用している割合は、先行企業が87%だった一方、出遅れ企業では35%に留まる結果となった。


価値観の多様化や市場の変化に対応するため、企業にはイノベーションの創出が求められている。クラウドやAIなどさまざまなテクノロジーを積極的に活用していくことが有効と言えそうだ。


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