「女性管理職登用比率3割」を2020年に達成できたのは2割未満
女性管理職比率の政府目標「2020年30%」、達成割合は日系企業と外資系企業で差が
ダイバーシティー&インクルージョンの環境整備が求められているが、女性管理職は増加したのだろうか。はじめに、「2020年までに女性管理職登用比率を30%とする政府目標は達成したか」を尋ねると、「達成した」は全体で19%と2割に満たなかった。また、外資系企業が22%だったのに対し、日系企業は13%と、達成度に9ポイントの差がみられた。
諸外国と比べて低い「日本の女性管理職比率」、6割以上が課題認識を持つ
国際労働機関(ILO)が実施した2018年の調査結果では、日本の女性管理職比率は12%と、世界平均の27.1%に比べて15.1ポイントも低くなっていた。そこで、「諸外国と比べ、日本の女性管理職比率が低いことをどのように捉えるか」と尋ねた。すると、全体の61%が「問題である(女性管理職を増やすべき)」と回答。これを属性別に見ると、外資系企業は68%だったのに対し、日系企業の回答は45%と、日本企業が23ポイント下回る結果となった。
女性管理職増加に必要なのは「経営層の意識の変化」や「家族からの理解」など
また、日本の女性管理職比率の低さを「問題である」または「どちらとも言えない」と回答した企業に、「女性管理職を増やすために、必要なこと」を聞いた。最も多く回答が集まった項目は、「女性管理職登用に関する、経営層の意識の変化」で、全体の68%が回答した(外資系企業:69%/日系企業:65%)。以下、「女性が働くことへの、家族やパートナーの理解」が全体回答60%(外資系企業:60%/日系企業59%)、「子育て女性が働きやすい企業の労働環境整備」全体回答60%(外資系企業:60%/日系企業58 %)と続いた。
約半数の企業が「女性管理職増加に向けた取り組みを実施」。具体的施策には「時短勤務やフレックスタイム制」など
さらに、「女性管理職増加に向けた、取り組み施策を継続しているか」を尋ねると、全体の48%が「行っている」と回答。内訳は、外資系企業が50%、日系企業が43%と、7ポイントの差がみられた。
また、具体的な取り組み施策を選んでもらうと、「時短勤務やフレックスなど、子育て中でも働きやすい制度の整備・導入」が全体で74%(外資系企業:74%/日系企業:73%)と最も多かった。
外資系・日系企業間で顕著な差がみられたのは、「新卒社員の女性比率を意識している」で、日系企業の58%に対し、外資系企業が22 %と、36ポイント差だった。逆に、「女性の中途採用比率を意識」では、外資系企業の51%に対し、日系企業では33%と、18ポイント差となった。この結果には、日本企業のほうが「新卒一括採用」を行うケースが多いことが表れているようだ。
在宅勤務などのワークスタイルの変化は「女性管理職の登用を促進する」か
続いて、「リモートワークを導入する企業が増加したことで、女性管理職の登用が進みやすくなるか」を尋ねた。すると全体の31%が「はい」と回答。外資系企業、日系企業共に31%となったことから、柔軟な働き方への対応は、女性管理職登用にも有効に働くという意識は同じなようだ。
最後に、在宅勤務と女性登用に関する自由回答を一部紹介する。
・柔軟な働き方に対する意識が高まり、管理職に挑戦しようと思う女性は増えると思う。(外資系企業、1,000人以上~5,000人未満)
・育児や介護などでキャリアを一時中断した優秀な女性の採用に繋げられる。(外資系企業、100人以上~500人未満)
・会社の風土が変わらないと、女性の昇進しやすさに変化はないと思う。(外資系企業、100人以上~500人未満)
・リモートワークの目的意識は企業によって異なっており、根本的な多様性を許容できている企業は一部であるように感じる。(日系企業、5,000人以上)
世界平均より落ち込む日本の女性管理職比率を問題視する、企業担当者の声は多い。また、経営層の意識改革や制度面の充実など、比率改善に向けた課題も山積している。テレワークの推進など、女性が働きやすい環境整備や支援が、一層求められているといえるだろう。
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