「2019年度の雇用動向に関する企業の意識調査」 正社員採用予定の企業は5年連続で6割を超えるも、3年ぶりに減少

「人材不足」と「生産性の向上」という2つの課題を前にし、企業は今、正社員および非正規社員の採用についてどうしようと考えているのか? 帝国データバンクは2019年2月、全国の企業を対象に「2019年度の雇用動向に関する企業の意識」について調査を実施した。有効回答企業数は9,701社、内訳は大企業1,930社、中小企業7,771社となる。



※帝国データバンク調べ


「採用予定がある」企業は 64.2%となり、2016年度調査以来3年ぶりに減少した。しかし、依然5年連続で6割を超えており、リーマン・ショック前(2008年3月)の調査を上回る水準が続いている。

採用予定がある企業を規模別に見ると、「大企業」は 84.8%に上り、調査を開始した2005年度以降で最高を更新。「中小企業」は 59.1%となり、前回調査(2018年2月実施)から 2.2ポイント減少した。大企業の積極性が続く一方で、中小企業の採用姿勢は高水準ながら一服の様相だ。

採用予定のある企業からは、「人手不足もあるが、平均年齢の若返りも重要(野菜果実缶詰等製造、北海道)」、「随時求人活動を行っており、特に中途採用を積極化する(電気機械器具卸売、神奈川県)」といった声が聞かれた。



※帝国データバンク調べ


非正社員の採用予定について、「採用予定がある」と回答した企業は50.3%となった。2年連続で半数を超えているものの、前回調査を 2.1ポイント下回り、採用意欲がやや後退した。ただし、非正社員が人手不足の状態にある「飲食店」では9割、「飲食料品小売」、「医薬品・日用雑貨品小売」では8割を超える企業で採用を予定している。

企業からは、「働き方改革関連法に含まれる有給休暇の義務化により、余剰人員を抱えておかないと、現在ぎりぎりの人員で稼働している機械が止まってしまう(ニット等染色整理、福井県)」といった声も聞かれた。



※帝国データバンク調べ


2019年度の正社員比率は2018年度と比較して「上昇する」と回答した企業は 18.3%で、「低下する(6.1%)」を12.2ポイント上回った。



※帝国データバンク調べ


上昇すると回答した企業にその理由を尋ねると、「業容拡大への対応」が 45.8%で最も高かったものの、これは2018 年度(51.5%)と比較して5.7ポイント減少している。業容拡大が正社員比率の上昇に与える影響が薄らいでいる様子がうかがえる。



※帝国データバンク調べ


短期間で生産性向上に効果がある方法として「職場内における教育訓練(OJT)」が 60.1%と、突出して高かった。一方、長期的な人材育成方法は、分散する傾向が表れた。

企業からは、「人材育成は急務と考えており、OJTとOJDの併用が望ましい。ただし、現実的にはOJTが中心となっており、OJDまで手が回っていない状況。Off-JTやSDSも活用はしているが短期的な面が強く、時間を掛けて育てるのがベストと考える(ソフト受託開発、大阪府)」といった意見が挙がった。

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