「男性の育児休業」に関するアンケートの結果レポート 1割強は女性の利用実績もなし。大企業は取得率が増大傾向にあり。

女性が仕事を持つことが当たり前の昨今、男女の役割分担も見直されています。なかでも、最も早急だと考えられているのが男性の育児参加。「その第一歩」ともいえるのが育児休業の取得です。積水ハウスや三菱UFJ、メルカリなどは管理職まで含めて、会社として取り組み、積極的に改革を進めています。また、国としての少子化対策や女性活躍推進策として「取得の義務化」の検討も一部の議員によって始まっています。しかし、休業による所得減や自身のキャリアプランを考えたとき、個人が納得して選択できる制度になっているかは疑問が残るところです。そこで、「男性の育児休業」について、取得実績や認識されている課題について、アンケートを実施しました。調査期間は、2019年6月10日~7月10日です。

1割強は利用実績なし!規模の小さな企業ほど取得できない状況?!

女性でも「産休は取得しても育休までは…」という人もいて、出産後の体調にもよりますが、育児休業は取らない場合もあります。そこで、まずは「育児休業」をどの程度の人が取得しているのか、『貴社では育児休業を取得している社員はいますか?(現在利用している人がいなくても過去にあればその旨でお知らせください)』と質問しました。最も多かった回答は「男女ともに利用している」が46.8%、次いで「女性のみ利用している」が40.5%、「これまで利用実績がない」が12.7%という結果でした。


「これまで利用実績がない」企業について従業員の規模別に見ると、従業員数300名以上~1000名未満と300名未満の企業からの回答でした。また、メーカーは従業員規模1000名未満、300名未満両方の企業で「利用実績がない」という回答がありましたが、非メーカーで「利用実績がない」と回答したのは300名未満の規模の企業のみでした。男女比などが不明ですので、一概にはいえませんが、企業の規模によって取得に差が出る傾向にあるようです。


休暇の周知や取得の推奨を積極的に進める大企業ほど育休が取りやすい状況に

育児休業を取得しやすくするには、やはり社内の空気感も大切です。企業が前向きに取り組んでいれば、自然と取得する人も増えるはずです。そこで、『社員の仕事と子育ての両立支援のために、貴社全体で行っている取り組みを教えてください。』と伺いました。一位は「残業・長時間労働の防止対策」で54.4%、二位は「育児休業制度の周知」と「有給休暇取得を積極的に推奨」が48.1%で同率でした。次いで、「ワークシェアとバックアップ体制の構築」が29.1%、「子育てに関わる休暇制度」が20.3%、「ファミリーデー・家族参加イベント」が15.2%と続きました。特徴的なのは、従業員1000名以上の企業の一位は、「育児休業制度の周知」で、2位が「有給休暇取得を積極的に推奨」だったこと。社内の空気を取得しやすい方向へ導くことが育児休業の取得につながっているようです。


300~1000名規模の企業が今後、「研修を増やしたい」意向を表明

「男性も育児休暇を取るべき」という風潮は高まりつつありますが、それでも、まだまだ男性が育児休暇を取るには高いハードルがあるように感じます。企業は、そのあたりをどのように感じているのでしょうか。『男性が育児休業を取得しない理由はどのようなものがあると感じますか?(人事部で認識されている課題や実情を教えてください)』とホンネを伺ってみました。


回答は「本人やご家族からの希望がない」(41.8%)、「休業取得による所得減」(40.5%)、「これまでに取得実績がない」(38%)、「後のキャリア形成への懸念がある」(34.2%)、「休暇取得・時短勤務等で対応ができると判断」と「配偶者(妻)が育児休業を取得したから」が同率22.8%、「プロジェクトを途中で止めることができない」(17.7%)、「制度の周知不足」(15.2%)となました。これらを踏まえ、アンケート回答を精査すると、従業員数による企業の規模によって大きな違いがありました。


1000名以上の企業では、1000名未満の企業で多かった回答の「休業取得による所得減」や「これまでに取得実績がない」「後のキャリア形成への懸念がある」という理由は比較的少なく、逆に1000名未満の企業の回答で少なかった「配偶者(妻)が育児休業を取得したから」という理由を飛び抜けて多く回答していたのです。こうした制度も従業員規模によって扱いがだいぶ違うようです。



まだまだ育児休暇を男性が取得することに抵抗のある方も少なくないようですが、今後はどのようになっていくのでしょうか?『男性の育児休業取得は今後もっと進むと思いますか? ご意見を含めフリーコメントをお寄せください。』として、自由なご意見をいただきました。



【進んでいく】

  • 私自身が妻の出産を控えており、男性育休取得第一号を目指して準備を進めています。たとえ数日、数週間でも取得できる会社を目指してまいります。
  • 男女の働き方に対する考え方の変化に伴い、休暇取得自体は増加すると思います。ただし、すべての男性が休暇取得をすることが目的ではなく、男女を問わず人間としての働くことと、家庭の両立(自営業では当たり前のことですが)を図るためのあるべき姿とはどういうものか(決して固定した考えを押し付けるのではなく)、多様な生き方をすべての人と社会が認め、尊重しあえる社会が望ましいと考えます。個人的には娘も二人の子育てと2回の育児休暇および時短勤務を経験しており、心から(夫婦での様々なバックアップを含め)応援しているところです。


  • 【強制すべきではない】

  • 個々人の裁量で選択すべきものであり、強制するものではないと考える。
  • 後のキャリア構成・プロジェクトの補完体制を充分に事前にしておくことが必要。


  • 【進まない】

  • 思わない。休んでキャリア形成ができるとも思わない。
  • 社会の仕組みを変えなければ、一企業の努力だけでは進み方は極めて遅くなる。
  • 法的強制力か人事が取得を推進しなければ進まないと思う。
  • 放っておいたら進まないと思います。 企業が積極的に取得を推進するか、最近報じられているように、法律で定めるなど、一定の強制力を持たせないと進まないと思います。 また、育児休業中に収入が減ることは、家族が増えて、これから物入りになる世代にとっては重大な問題かと思いますので、この点を改善しなくては、取得は進まないと思います。


【調査概要】 アンケート名称:「男性の育児休業」に関するアンケート
調査主体:PRO-Q編集部(ProFuture株式会社)
調査期間:2019年6月10日~7月10日
調査媒体:アンケートメディア 人事・総務PRO-Q
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