「チームにおける多様性経験に関する実態調査」。チームの多様性が与える影響とは

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所は、従業員300名以上の企業に勤める20~50代の会社員351名を対象に「チームにおける多様性経験に関する実態調査」を実施し、2020年1月にその結果を発表した。調査期間は2019年9月。これにより、チームの多様性の種類によって成果に与える影響や成果を上げるために必要とされることが明らかになった。

「幅広い年齢層」「保有スキルのばらつきが大きい」チームは多様性が高い傾向

グローバル化や女性の社会進出、ミレニアル世代などの影響を背景とし、日本企業においては、国籍、性別、年齢などの表面的な多様性のみならず、価値観や志向、スキルや経験といった面で多様なメンバーと共同で業務にあたる機会が増加している。本調査では、チームにおける多様性経験の実態から、多様性のあるチームが成果を上げ、創造性を高めるために必要なことを分析・考察した。


まず、回答者が考える「最も多様性が高いチーム」の状態について調査した。「現在所属している多様性が高いチーム」が多様性の種類としてあげた10項目に、どの程度あてはまるかを聞くと、「年齢層の幅が広い」でその回答割合が最も多く、「あてはまる」が33.3%、「ややあてはまる」が47.3%となった。次いで、「保有知識やスキルのレベルにバラつきが大きい」が「あてはまる」21.9%、「ややあてはまる」が50.7%という結果となった。



多様性が高いチームの約半数が「業務・人間関係、共に良好」

次に、多様性が高いチームの業務推進状況とチーム内の人間関係について調査した。それぞれ「良好」または「問題がある」という、4つの選択肢からあてはまるものを選んでもらうと、「業務・人間関係、共に良好」が最も多く、全体で45%だった。次いで、「業務問題・人間関係良好」が21.7%、「業務良好・人間関係問題」が19.9%、「業務・人間関係、共に問題」が13.4%という結果に。


「共に良好」の回答理由には、立場の違いに関係なく意見が言えるといった心理的安全性やサポートをし合える職場といった意見が散見された。また、「共に良好」「共に問題」という双方の回答理由からは、人間関係の良否が業務に影響している様子がうかがえる。



多様性の種類によって異なるチームの成果

上記の設問に対する「共に良好」「共に問題」という回答を、所属しているチームの多様性別に比較すると、「共に良好」は「性別」「専門性」が多様なチームで割合が高い。一方で、「共に問題」は「勤務地」「知識・スキルレベル」が多様なチームで多くの回答が得られ、有意な差が明らかになった。



多様性が高いチームの8割以上は「助け合いながら業務にあたる」

次に、「現在所属している多様性が高いチーム」のチームプロセスの状況を調査するため、チームの特徴について尋ねた。「とてもあてはまる」~「ややあてはまる」という回答の合計が8割以上にのぼったのは、「助け合いながら仕事をしている」、「メンバーがチームで成果を上げることに貢献しようとしている」の2項目だった。一方で、「お互いの成長やバックグラウンド・価値観について知っている」、「期待を伝え合っている」は6割ほどという結果だ。経験や価値観の多様さがある中でも、互いに理解を深めようとする状況ばかりではないようだ。



チームプロセス状況との相関。チームの多様性によって差も

これまでのチームの特徴と10種類の多様性との相関性を分析した結果、多様性の種類によって、チームの特徴のどの部分に関係するかが異なることがわかった。「勤務形態」、「価値観」が多様なチームは、「協働」、「共創」、「改善」とプラスの関係にある一方、「疲弊」ともプラスの相関があることから、ポジティブ・ネガティブの両側面に影響をもたらすことが伺える。また、「専門性」が多様なチームは、「協働」、「共創」、「改善」、「心理的安全性」に対してプラスの相関があるのに対して、「疲弊」との関係はなく、ポジティブな影響がある多様さを持つと考えられる。



チームで成果を上げるのに障害となる多様性は「知識・スキルレベル」が最多

次に、これまでのチーム経験にもとづいた回答を調査した。「チームを上手く進めるうえで障害となる多様性の特徴」について尋ねたところ、「知識・スキルレベル」が33%と最多だった。次いで、「価値観」が28.2%、「年齢層」が21.7%となった。職務系統別に見ると、技術職では「知識・スキルレベル」と「勤務地」、また、営業職では「年齢層」「価値観」の多様性を障害と感じる傾向にあることが見えてくる。


また、メンバーが多様であることで困った経験や不安についての自由回答からは、合意形成や意思疎通に関する回答が最も多かった。チームワークの側面であるサポートや協働に関する記述も多数あり、サポートし合う気持ちや立場が異なる相手への配慮不足、多様であるがためのサポート要請の難しさなどが挙げられた。



チームの成果に対する影響が異なる多様性は、上手く活用することでミス防止や創造性の向上にもつながる。心理的安全性を確保しつつ、業務の質に関する指摘をし合えるよう、多様なチームにおけるリーダーの役割を見直すことも企業には求められそうだ。

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