「新型コロナウイルス感染症による雇用維持への配慮」を厚生労働省が要請

厚生労働省は2020年4月、新型コロナウイルス感染症に対する状況を踏まえ、関係事業団体に雇用維持に対する配慮を行うよう、総務大臣や文部科学大臣他、関係大臣との連名で要請した。同時に中小企業の事業継続と労働者の雇用継続を目的とし、大規模な経済対策を講じるとしている。

雇用状況の悪化を懸念し、労働者への配慮を要請

新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は大きく、人やモノの動きが停滞することで生じる経済損失は、甚大なものとなることが予測されている。中小企業を中心に、事業活動の縮小を余儀なくされている事業所も存在するなか、非正規雇用労働者および新卒採用予定者などは特にその影響を受けやすく、内定取り消しや契約の打ち切りなどが相次いでいる。


これらの状況を踏まえ、政府はGDPの2割に当たる108兆円規模の経済対策を講じることを決定。また、関係事業団体に向けて労働者の雇用維持等、急激な事業変動の影響を最小限にとどめるための要請を、厚生労働省と各関係大臣らの連名で発表した。


関係事業者団体への具体的な要請内容は次の通り。


・事業継続や雇用維持のため、資金繰り支援策や雇用調整助成金の特別枠の活用を推進すること。また新入社員を未来への投資として雇用維持すること。


・失業者の雇用や、新卒者を対象として積極的に求人を行うこと。


・入職時期の繰り下げを行った内定者については早期に入職日を決定するなど、特段に配慮を行うこと。


・2020年度卒業予定者に対する採用について、通信手段を活用した説明会や面接や試験の実施と、柔軟な日程の設定などを行うこと。


・障がい者などの雇用を安定させ、また外国人労働者についても日本人と同様の配慮をすること。


・非正規雇用労働者の雇用安定を図るため、解雇や雇止め、安易な派遣契約解除等を控えるとともに、やむを得ず解雇や雇止めを行う場合も、住まいの提供を行っている場合は一定期間入居できるよう配慮すること。


・非正規雇用労働者に対し、有給の特別制度を設けるなど休暇取得がしやすい環境の整備、テレワークや時差通勤の積極的な活用推進、感染予防に向けた取り組みを行うこと。
また、臨時休校となる子供を持つ親が休暇を取りやすい環境を整備すること。


終息の気配が見えない新型コロナウイルス感染症。特に事業基盤の弱い中小企業や非正規雇用労働者への影響は計り知れないものとなりそうだ。企業においては、政府が打ち出す経済対策の中から適切なものを選択し、雇用や事業継続に向けた対策を講じることが求められる。

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