女性社員が少ないはずの製造業が働きやすい業界の上位にランクイン。その理由は?
2016年に施行された「女性活躍推進法」、また2017年施行の「改正育児・介護休業法」の後押しもあり、国も企業も女性が働きやすい環境作りに取り組んでいる。そのような中、女性にとって最も働きやすい業界はどこなのだろうか。企業の口コミ情報サイト「キャリコネ」を運営するグローバルウェイが、2019年3月に発表した「女性社員の働きやすい業界ランキング」から探っていく。
本調査は、2016年4月1日~2018年3月31日に、女性社員のユーザーからの評価が寄せられた企業を抽出し、「労働時間」、「やりがい」、「ストレス度」、「休日」、「給与」、「ホワイト度」の6項目の評価(各5点満点)の平均点(総合評価)を業界別に抽出。それらを取りまとめたもの。下記がそのランキング一覧だ。
【女性社員の働きやすい業界ランキング】
※株式会社グローバルウェイ調べ
(※本調査では、「その他金融」業界を「リース・消費者金融・クレカ・信販」と表記している。)
調査レポートには、上位にランクインした6業界に属する企業の口コミが紹介されていた。興味深い生の声を下に引用する。トップ3の動向も合わせて紹介するので、どんな点が評価を受けているのか、参考にしていただきたい。
1位:水産・農林業界(総合評価:3.52)
「農業だが年間120日休める。長期休暇制度があり、連休が必ず取得できる。イオングループなので産休や育休、時短勤務などは手厚い。平日でも自由に休めるので、プライベートの予定が立てやすい」(イオンアグリ創造/その他技術関連職/20代後半女性/年収344万円/2017年度)
評価が高かった企業に雪国まいたけがある。同社は「まいたけ」の量産化に成功し、大躍進した新潟の企業で、2016年度の女性の育児休業取得率は100%。
2位:ガラス・土石製品業界(総合評価:3.49)
「年間12万円、レジャーや民間の生命保険、財形貯蓄や引っ越しの補助等自由に使えるカフェテリアプラン型の福利厚生システムが導入されている。業務に関連する資格取得や語学等の自己啓発には、カフェテリアプランとは別に年間12万円・自己負担額半額となる補助がある。住宅手当も手厚く福利厚生が非常に良い会社である」(AGC/研究開発/20代後半女性/年収500万円/2017年度)
陶製トイレの国内トップメーカーTOTOの評価が高い。女性社員の活躍推進に積極的で、女性活躍推進に優れた上場企業を経済産業省などが選定する「なでしこ銘柄」の常連だ。
3位:医薬品業界(総合評価:3.38)
「休日が取りやすい風潮がある。今年から2週間の夏休みを取ろうという取り組みも始まった。製薬会社のなかでもとても働きやすい会社かと思う。中途採用の方が多く、受け入れ態勢も整っている」(ファイザー/法人営業/30代前半女性/年収720万円/2016年度)
女性活躍推進法の施行を受け、業界全体として女性の採用や定着率の向上、管理職への登用などに積極的な傾向にある。勤務地の選択や限定ができる制度を導入したり、女性管理職の比率を倍増させる目標を掲げたりと、各社さまざまな取り組みを行っている。
4位は3業界が同率で並んだ。
4位:電気・ガス業界(総合評価:3.35)
「業務量を調整してもらえるし、育児休暇や短時間勤務やフレックス制度が充実しているため大変働きやすいと思う。出産育児介護を理由に退社する人はまずいない(東京電力ホールディングス/カスタマーサポート/40代後半女性/年収560万円/2017年度)
4位:電気機器業界(総合評価:3.35)
「毎年上期下期に研修の募集があり、全社研修などを受けることができるため、スキルアップには十分な環境が確保されている。社外講師も有名な方々が来られるので、選びがいはあると思う。参加者も意識が高く、学ぼうという機運は十分にある。また海外研修と称して1年行くことが多くある」(日立製作所/財務コンサルタント/20代後半女性/年収500万円/2017年度)
4位:石油・石炭製品業界(総合評価:3.35)
「場所にもよるが、残業や休日出勤はほぼない。どちらも、上司への事前報告が必要なため、給与が支払われないなどのことはほぼない。19時にはほぼ全員が退社している。パソコンの起動時間が管理されているため、残業を申請しないと逆に上司に注意される。また有休も取りやすい」(コスモ石油/ルートセールス/20代前半女性/年収350万円/2017年度)
ランキングを見ると、「非製造業」に比べて女性の比率が低い「製造業」が数多く上位に入った。上記で取り上げたコメントの他に、「男性が多いので女性に優しく優遇してもらえることも(ガラス・土石製品/TOTO)」、「同じ能力であれば、女性の方が管理職になりやすいかも(輸送用機器/日産自動車)」という声もあった。
ただし、1位から10位までがわずか0.23点差。業界による差よりも、企業による差が大きいと考えるのが妥当かもしれない。
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