学歴社会は崩壊しつつあるとの声もあれば、その一方で、やはりまだまだ学歴は必要だとの声もある。中でも、結婚や出産を機に退職し、その後再就職するケースが考えられる、働く女性達は現状をどう感じているのだろうか。

主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」の調査機関しゅふJOB総研が2018年7月、「再就職と学歴」をテーマに、働く主婦層へ実施したインターネット調査の結果から考察しよう。なお、有効回答数は770件で、回答者の最終学歴は以下の通り。

※しゅふＪＯＢ総研調べ

『女性が結婚・出産後に再就職する際、学歴は影響すると思いますか？』との質問に、42．7％が「影響すると思う」と回答。「影響しないと思う」は31.9％、「わからない」が25.3％と三様の回答に分かれた格好だ。

※しゅふＪＯＢ総研調べ

以下で、それぞれの回答理由トップ3を紹介する。

▼「影響する」と回答した人に聞く、その理由

▼「影響しない」と回答した人に聞く、その理由

▼「分からない」と回答した人に聞く、その理由

※しゅふＪＯＢ総研調べ

回答理由を見ていくと、「影響しないと回答した人の理由」で「学歴よりも実務スキルや職務経験が重視されるから」が、93.5％を占めているのが印象的である。

なお、「影響しないと回答した人が挙げた理由」と、「分からないと回答した人が挙げた理由」のトップ3の内容は同じである。

結婚・出産を経験する女性がキャリアを形成する上で、最も学歴が影響するのはどの期間と認識しているのか聞くと、最も多かったのが「新卒入社のタイミング」（63.4％）であった。次いで「一生影響し続ける」が続く。「一生を通じて、キャリアに学歴は影響しない」という項目を選んだのは、わずか2.3%であった。

※しゅふＪＯＢ総研調べ

時期や程度の違いはあれ、9割以上の働く女性が、学歴がキャリアに影響すると考えていた。では、自分の子どもが女の子だった場合はどうだろうか。高学歴を「望む」を選んだのは46.1％と最多となった。将来のキャリアを考えて高学歴を「望まない」との回答は、全体の2割を切っていた。

※しゅふＪＯＢ総研調べ

なお、回答と回答者の学歴を照らし合わせると、「四年制大学以上の学歴」の人は「影響する」との回答が58.9%、「それ以外の学歴（その他をのぞく）」の人は、「影響する」との回答が39.3%と、回答者自身の学歴によって、回答に差が表れた。

レポートでは、回答者から寄せられたフリーコメントを紹介している。ここでは、その中から抜粋して紹介する。

▼女性が結婚・出産後に再就職する際、学歴は「影響すると思う」と回答した人

・それなりの学歴がない人で優秀な人はなかなか見つからないのは事実だから（40代：四年制大学（文系））

・日本社会で働く場合、自営業者でない限りは学歴は無視することはできない（30代：大学院）

・東京の国立大学卒です。これまで学歴のおかげで得をしたことはあっても損をしたことはありません（50代：四年制大学（文系））

▼女性が結婚・出産後に再就職する際、学歴は「影響しないと思う」と回答した人

・学歴よりも職歴やその時その時のスキル、意欲、コミュニケーション力といったトータルバランスだと思う（40代：四年制大学（文系））

・主婦で子育て中のパートには、学歴は聞かれもしない（40代：四年制大学（文系））

・私たちの子供が就職する年頃になると企業に勤めるという勤務形態が珍しくなっていると思う。そうなると学歴よりもいかに個性があるか、いかにユニークな発想があるかが一番問われると思う（30代：四年制大学（文系））

▼女性が結婚・出産後に再就職する際、学歴が影響するか「わからない」と回答した人

・残念ながら、学歴の低い人の優秀さを見極めるには時間がかかるし、万人にその機会はないのが現実（40代：高校）

・学歴はたいしたことないが、頭がよく仕事はできる人もいるし、学歴はすごいけど、頭が固くて仕事できない人もいる（50代：短期大学）

・手に職がある場合や、職歴が華々しい場合は、学歴は大して意味がないと思う（40代：四年制大学（文系））