妊産婦が職場に求めるのは「周囲の理解・協力」と「勤務時間の融通」、裏腹にマタハラで退職勧告された人も
育休・産休取得に際し壁を感じる事柄とは?
「取りやすかった」「どちらかといえば取りやすかった」を合わせると、全体の約65%が「取得しやすい」と感じていることがわかる。その一方で、「取りにくかった」との回答も34.9%にのぼり、制度が浸透しているとは言えない状況だ。
働きながら妊娠・出産をする上で一番ハードルが高いのは「妊娠報告」となり、ほかの回答に比べて圧倒的な差を付けた。以下、「産休・手当などの制度の相談」「妊娠検診の休勤相談」と続いている。働き方が多様化しているとはいえ、妊娠・出産による環境の変化にまわりの協力が得られるかどうか、不安に感じる人はまだまだ多いようだ。
ここで注目したいのは、「母性管理健康指導事項連絡カードを利用した」という回答が極端に少ないことだ。本カードは厚生労働省が推奨しているもので、仕事を持つ妊産婦が医師などから通勤緩和や休憩などの指導を受けた際に、その内容を職場へ的確に伝えるために利用する。ところが、そもそも認知度自体が低いことが明らかとなった。
3人に1人は「マタハラを受けた」と感じている
「ある」「受けたかも知れない」の合計は33.8%となり、約3人に1人がマタハラを受けた経験があると感じていた。その具体的な内容は以下の通りだ。
マタハラの内容は、「皮肉や嫌味を言われた」が40%で最多となった。また、驚くことに3位には「退職を促された」が入っている。「契約を切られた」「出産経験がある同僚から“残業ができないならやめろ”と言われた」といった回答が寄せられており、約5人に1人が退職勧奨を受けたことになる。「産休・育休制度の整備」以前の、時代に逆行する問題が浮き彫りとなった。
周囲の社員の反応は「話を聞いてくれた」が42.1%と最多であったものの、以下「見て見ぬふりをしていた(37%)」「誰も話を聞いてくれなかった(13.7%)」「あなたが悪いと責められた(7.8%)」と続いている。マタハラをされても何もできずに苦しむ妊産婦は多く、まわりの社員も含めた意識改革や相談しやすい環境作りなど、今後の働き方を考慮する必要がありそうだ。
復職の鍵は「融通が利く勤務時間」
復職経験者は60.5%にのぼるが、そのうち6.8%は「復職したがすぐやめてしまった」と回答している。せっかく復帰した妊産婦が仕事を長く続けるためには、何が必要なのだろうか。彼女たちが「復帰の助けになった」と回答している制度は以下になる。
上位3位が「時短勤務」「通院休暇や有休の取得」「フレックス勤務(通勤緩和)」となり、勤務時間に関する制度が並ぶ。子どもがいると保育園の送迎や急な発熱による欠勤など、時間をコントロールできないことが激増するため、融通の利く勤務時間は復職の大きな助けになることがわかる。
働く母親にとって、育児と仕事の両立は大変な負担になる。それを可能にするために一番必要なものは、「パートナーの理解と協力」が28.8%で最多となった。育児と家事の両立に悩む女性にとって、家庭内でのケアや理解がいかに重要であるかがわかる。それと同時に、「周囲の理解と協力」や「会社としての制度の整備」も上位に挙がったことから、勤務先が働く環境を整えることは必然となる。
必要なのは「コミュニケーション」と「制度」の二軸
以上の調査を通して、妊産婦が働きやすい環境を作るためには「家庭や職場での理解と協力」および「勤務時間の融通」が必要であることが判明した。制度を整えるのはもちろんのこと、誰にも相談できずに悩む彼女たちへ手を差し伸べ、コミュニケーションを密に取ることが求められる。貴重な人材を失わないよう、今一度職場として取り組めることを見直し、ライフステージが変わっても長く活躍してもらう場を作ることが重要だろう。
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